ちょっと前のこと。
ペアーズという婚活サイト?出会いサイト?で女性と知り合い飲みに行ってきた。
出会い
ペアーズの仕組みを話すと長くなるのでだいぶ省いて話をするが、
僕はたんたんと女性を検索しては「いいね!」を押しまくっていた。
女性から「いいね!」が返ってくることがあるが、僕の場合ほとんどないといっていいくらい少ない。
「いいね!」を押していない女性から「いいね!」が来る事もある。
しかし残念ながら、その中にタイプの女性がいた事はない。
この出会いは、僕から「いいね!」を押して「いいね!」を返してきた女性との物語である。
彼女のスペック
彼女はとても可愛いとは言えないまでも、普通な感じの雰囲気が僕にとってはハートに響くものがあった。
都内で働くOLで、入っているコミュニティを見ると僕と趣味も合いそうだった。
あいさつ程度のメッセの交換をして、何気ない会話をするがなかなか反応もいい。
これはイケそうだ。と確信をした僕はラインを交換して直接会ってみることにした。
しばらくメッセのやり取りをした後、こちらから「飲みに行こうよ」と誘ってみたところ即OKの返事がきた。
よし。これはイケる。
確かな手応えを感じた僕は、彼女と飲みに行く日程を調整して会う事になった。
戦略
今回の出会いはどういう事を目的としているのか?
男と女がわざわざ婚活サイトで出会うのだ。
目的は一つしかないだろう?
良ければお付き合いしましょうだ。
それがダメであれば、友達に。それもダメであれば他人のまま終わり、次を探すのだ。
その日はベストを尽くす。自分の持てる知識と経験をふるに発揮するんだ。
僕は居酒屋からどういう流れで最終的な目標を遂げるのかシュミレーションをし、準備を万端に整えた。
当然ながら居酒屋も予約済みだ。
当日
その日はとても天気も良く、女性がドタキャンする理由の一つがなくなった事に安心していた。
女性というのは気まぐれで、平気でドタキャンをする生き物だという事は知っている。
待ち合わせ場所には10分前には着いた。
これから勝負の一戦が始まるのだ。久しぶりの戦いだ。
以前に女性と戦った日からだいぶ間隔があいていたので、不安と緊張がジワジワと体中から湧き上がってきた。
「やばいな…緊張してる…。」
その辺をウロウロして体を動かしながら緊張を緩めるようにする。
体を動かすと次第に緊張は解けていくものなのだ。
確かな経験から裏打ちされた事実が僕を救ってくれる。
それからガムも噛んだ。
いい感じでリラックスしてきた。
リラックスと同時に、徐々に闘争本能が湧き上がってきた。いい感じだ。
しかしそれを前面に出すわけではなく、内側のエネルギーとして内在させる。
彼女の始めの印象は?こちらから投げる言葉によるリアクションで彼女の出方を見る。
僕に対する反応はどうだ?
イケるかどうか?小一時間もあればわかる。
大丈夫だ。反応が悪ければすぐに解散すればいい。
それが僕にとっても彼女にとっても良い事なのだ。
誰が悪いわけでもない。
最悪な場合でもただ解散すればいいだけなのだ。
「よし。」
僕は腹が据わった。
待ち合わせ10分前でコンディションはベストな状態に持っていけた。
遅刻
女性から連絡があり、少し遅れるとのこと。
特に気にならない。女性は当たり前のように遅れてくるタイプがいる。
しかし問題があった。居酒屋を予約していたのだ。
あっ…まずい…。
本来であれば、女性が遅れる事を想定して、待ち合わせ時間から少し時間をずらして予約するのだが、今回はピッタリの計算で予約してしまっていた。
女性達との戦いから遠ざかっていた事で詰めが甘くなっていたのだ。
ちょうど繁華街が賑わいを見せる時間帯だった。
ここで予約をキャンセルすると、どこのお店にスムーズに入れなくなるかもしれない。
仮にもしお店に入れても、体面の席に座らされる可能性が高い。
対面の席だと未熟な僕の腕では戦いが不利になる。
できれば予約はキャンセルしたくない…。
しかしもう予約時間は過ぎており、彼女がどれくらい遅れてくるのかあいまいだったので、お店にキャンセルの連絡を入れた。
戦いは不利になった。
しかしやるしかない。ベストを尽くせばそれでいい。
僕は自分に言い聞かせて、気持ちがマイナスに傾かないように精神をコントロールしていた。
そしてしばらくすると彼女から連絡がきた。
もうすぐ待ち合わせ場所に到着するとの事。
いよいよ勝負の時がきた。
ワーストコンタクトは笑顔で。まるで古い友達に会ったかのように心から温かみのあるやつで…
魂の叫び
もう待ち合わせ場所に着いてるとの連絡が入った。
僕ももうそこにいる。
どこだろう?僕はペアーズのプロフィールで見た彼女の顔写真での特徴を思い出しながら彼女を探した。
お互いに連絡を取り合いながら、お互いを探しあう。
まるでテレビドラマか映画のように。
人が多くてなかなか彼女が見つからない。
「どんな服着てる?」
「〇〇だよー。」
あれっ…電話を持ってキョロキョロしている人がいる。もしかしてあれかな?
「〇〇の格好してる?」
「そうだよー〇〇の格好してるー。」
「あっ!見つけたよ。今行くね。」
彼女は僕に背を向けるような形で僕の事を探していた。
徐々に彼女に近づいていく。
ワーストコンタクトは笑顔だ。忘れるな。
「こんばんは!」
僕は明るく声をかけた。大きすぎず小さくもない。優しさを込めた「こんばんは」だ。
彼女がババッと勢いよく振り向く。
「!!!!!!!」
僕はすべてを受け入れた。笑顔のままで。
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